題名:迷宮のラビリンス、あるいは二重扉の仕掛け 報告者:ダレナン けだるい暑さの中、目の前に立っていた黒いドレスを羽織った彼女は、僕を見つけるなり、こちらに向かってきた。そうして僕にこう言った。 「わたしの事、覚えていますでしょうか。」 よく彼女の顔を見ても、まったく記憶になかった。ついこの前、頭を打った時に記憶がなくなったのであろうか。いやそんなはずはない。あの時、病院に連れていかれたことも、その後、頭に針で縫われたことも覚えている。その傷跡は今でも残っているが、記憶もちゃ…
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